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2024/07/16

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芦屋市立美術博物館 特別展「創立100周年記念 信濃橋洋画研究所 —大阪にひとつ美術の花が咲く—」お知らせ、視察報告

 芦屋市立美術博物館で開催中の特別展「創立100周年記念 信濃橋洋画研究所 —大阪にひとつ美術の花が咲く—」にて、長谷川三郎の作品2点、資料複数点が出品されています。

 本展は、画家・小出楢重、黒田重太郎、鍋井克之、国枝金三によって1924年に創立された信濃橋洋画研究所に焦点を当てた展覧会であり、同研究所の塾生であった長谷川三郎についても紹介されています。
 長谷川三郎は高校生のころ創立したばかりの信濃橋研究所へ通い、上記4名の講師のなかでも小出楢重に師事しました。小出が指導する週は特に緊張を覚えたという長谷川は、自身が描き上げた油絵を大幅に修正された時のことを次のように振り返っています。「残念でたまらないが、しかしまた先生が去られたあとで、惨憺たるありさまになっている自分の絵を、凝視するとき、忽ちそれがたくましく、立体感と骨太の構成とを与えられていることを認めないわけにはゆかない。」(『美術手帖』第78号、1954年2月、p.37)。自信に満ちた青年であった長谷川は、毅然とした指導と圧倒的な実力の差に打ちのめされたようです。さらに洋画と真摯に向き合う姿勢や新しいもの好きな小出の性格は長谷川のモダニストとしての才能を引き出したようで、長谷川は生涯を通して小出の弟子であることを誇りました。本展では小出楢重と長谷川三郎の作品が横並びに展示されており、その影響関係を見てとることができるでしょう。

 信濃橋洋画研究所を中心とした関西における洋画の発展から、小出楢重と長谷川三郎の師弟関係まで、非常に内容の詰まった展覧会です。ぜひ足をお運びいただき、当時の熱を感じとってみてください。

(長谷川三郎記念ギャラリー 松永)

展覧会名: 特別展「創立100周年記念 信濃橋洋画研究所 
—大阪にひとつ美術の花が咲く—」
 
会場: 芦屋市立美術博物館 
兵庫県芦屋市伊勢町12-25
 
会期: 2024年6月22日(土)~8月25日(日)
 
休館日: 月曜日
[ただし7月15日(月・祝)、8月12日(月・振休)は開館、7月16日(火)、8月13日(火)は休館]
 
時間: 10:00-17:00(入館は16:30まで)
 
観覧料: 一般 800円、大高生 500円、
中学生以下無料
 

公式ウェブサイト:https://ashiya-museum.jp

 
写真 上から順に

  1. 展覧会入口タイトル
  2. 師弟の素描。
    左:長谷川三郎《素描》1930年頃(長谷川三郎記念ギャラリー蔵)、
    右:小出楢重《素描》1911年頃、3点(いずれも芦屋市立美術博物館蔵)
  3. 師弟の油彩画。
    左:小出楢重《海辺風景》1930年(芦屋市立美術博物館蔵)、
    右:長谷川三郎《トロッコ》1924年頃(長谷川三郎記念ギャラリー蔵)
  4. 長谷川三郎による小出楢重の回想(「小出楢重—人と芸術—」『美術手帖』第78号、1954年2月より)

 
※すべて筆者撮影(無断転載禁止)