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2024/05/17

お知らせ

東京国立近代美術館 MOMATコレクション(2024.4.16–8.25) 小特集「プレイバック「日米抽象美術展」(1955)」お知らせ、視察報告

 現在、東京国立近代美術館(以下、同館)で開催中されている「MOMATコレクション(2024.4.16–8.25)」7・8室の小特集「プレイバック「日米抽象美術展」(1955)」にて、長谷川三郎に関連する資料が複数展示されています。
 本企画のテーマである「日米抽象美術展」とは、1955年に東京国立近代美術館で開催された展覧会であり、長谷川三郎が創立した日本アブストラクト・アート・クラブとアメリカン・アブストラクト・アーチスト(以下、AAA)とのやり取りが契機となって実施されました。
 長谷川三郎記念ギャラリーからは「第18回アメリカ抽象美術展」(1954年、ニューヨーク)開催のために、AAAから長谷川三郎へ日本の抽象作品の出品要請がなされたことを示す資料を出品しています。アメリカで開催された抽象美術展が好評を博し、そのお返しとして東京国立近代美術館において日米の抽象美術を紹介する展覧会が実現しました。
 今回の小特集でも、以前のプレイバック「抽象と幻想」展と同様にVRによる展覧会の再現がされています。写真乾板や会場記録の地道な調査を通して再構成された空間から当時の日米の抽象美術の動向を知るとともに、会場構成を担当した丹下健三の空間的な仕掛けを感じ取ることができます。

 また、今回はもうひとつ見どころがあります。日米抽象美術展に出品したアーティストたちの作品が並ぶなか、長谷川三郎の《狂詩曲 漁村にて》(1953年)に加え、これまで展示機会のなかった《抽象の言葉/宣言》、《リズム》の合計3点が展示されています。いずれも蒲鉾板による版画や拓本といった戦後に制作された作品の特徴を見ることができます。

 長谷川三郎が日本に限らず国際的にも抽象美術を牽引していたことがわかる内容であり、当時のアーティストたちとの関係を探る鍵にもなります。長らく表舞台に出てこなかったものを含め、今回は実物の長谷川三郎作品を鑑賞できる貴重な機会です。
 ぜひ会場に足をお運びいただき、抽象絵画の世界を覗いてみてはいかがでしょうか。

(長谷川三郎記念ギャラリー 松永)

展覧会名: 所蔵作品展 MOMATコレクション(2024.4.16–8.25)
会場: 東京国立近代美術館本館
東京都千代田区北の丸公園3-1
会期: 2024年4月16日(火)~8月25日(日)
休館日: 月曜日[4月29日、5月6日、7月15日、8月12日は開館]、4月30日、5月7日、7月16日、8月13日
観覧料: 一般 500円、大学生 250円
展覧会解説: https://www.momat.go.jp/exhibitions/r6-1

 
写真 上から順に

  1. 小特集「プレイバック「日米抽象美術展」(1955)」展示風景(左奥がVR展示)
  2. 長谷川三郎記念ギャラリーから出品している資料群
  3. 日米抽象美術展に出品していた作家たちの作品展示
  4. 長谷川三郎作品3点(左から《狂詩曲 漁村にて》、《リズム》、《抽象の言葉/宣言》)

 
※すべて筆者撮影(無断転載禁止)