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2023/04/28

お知らせ

【第二弾】東京国立近代美術館 MOMATコレクション プレイバック「抽象と幻想」展(1953-1954)視察報告

 現在、東京国立近代美術館で開催中されている「MOMATコレクション」展の7室『プレイバック「抽象と幻想」展(1953-1954)』(以下、「抽象と幻想展」)に長谷川三郎に関連する資料が複数展示されています。

 昨年11月から今年2月にかけて開催された「MOMATコレクション」展にて実施された小企画「抽象と幻想展」が好評につき、内容を更新したうえで会期が延長されました。こちらの記事では前回から更新された点を中心にご紹介しますので、「抽象と幻想展」の解説は前回の視察報告をご参照ください。

 まず、「抽象と幻想展」趣意書の下に、長谷川三郎による自筆原稿を印刷したパネルが展示されました。こちらの原稿は当ギャラリーが所有しており、作家の推敲が見られる点で非常に貴重です。例えば、実際に展示されたパネルのタイトルは『「抽象と幻想」展の趣意』ですが、自筆原稿を見るとはじめは「―この展覧会の主張―」とされて記されていたことがわかります。

 続いて、本展示の目玉であるVRによる展覧会の再現は一箇所にまとめられ、VRが出来上がるまでを解説したガイドシートが追加されました。資料の情報と写真を読み解き、実際の空間に落とし込んでいく作業の大変さが見て取れます。実はこちらのVR展示は作品の展示だけでなく、電灯の形状といった細かな部分にもこだわって再現されています。

 最後に、なんといっても展示全体の構成が大きく変わりました。前回は7室で「抽象と幻想展」の再現や資料が展示され、8室に当時出品されていた作品が並ぶ流れでしたが、今回は7室に再現、資料、作品すべてがまとめて展示されています。資料や再現展示とともに、作品の実物が見られるのは東京国立近代美術館の最大の魅力でもあります。丁寧な資料調査を通して、新たな作品の見え方を楽しむことができます。

同時開催の企画展「重要文化財の秘密」も非常に見応えのある展覧会です。ぜひ皆様も足を運んでみてはいかがでしょうか。

(長谷川三郎記念ギャラリー 松永)

展覧会名: MOMATコレクション(所蔵作品展)
会場  : 東京国立近代美術館本館 東京都千代田区北の丸公園3-1
会期  : 2023年3月17日~5月14日
開館時間: 10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)入館は閉館30分前まで
下記日程は開場時間を20:00まで延長いたします。(最終入場19:30)
5月2日(火)~7日(日)、5月9日(火)~14日(日)
休館日 : 月曜日(ただし3月27日、5月1日、8日は開館)
観覧料 : 一般 500円、大学生 250円、高校生以下および18歳以下、65歳以上の方は無料
ウェブサイト: https://www.momat.go.jp/exhibitions/r4-3

 

○関連情報

「展覧会の再構成を超えて 「プレイバック「抽象と幻想」展(1953–1954)」から考えること」伊村靖子 (国立新美術館 主任研究員)
https://www.momat.go.jp/magazine/143
「プレイバック「抽象と幻想」展(1953-54)MOMATコレクション展小特集|キュレータートーク」長名大地(東京国立近代美術館 主任研究員)
https://www.youtube.com/watch?v=5ntXRPXkJpo&t=28s

 

写真 上から順に

  1. 7室『プレイバック「抽象と幻想」展(1953-1954)』展示風景1
  2. 7室『プレイバック「抽象と幻想」展(1953-1954)』展示風景2
  3. VRによる展覧会の再現とガイドシート
  4. 長谷川三郎による趣意書の自筆原稿(部分)
  5. 長谷川三郎による展覧会趣意書
  6. ※1〜4筆者撮影、5東京国立近代美術館アートライブラリ所蔵(無断転載禁止)