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2022/10/12

お知らせ

東京国立近代美術館 MOMATコレクション 小企画『プレイバック「抽象と幻想」展(1953-1954)』 視察報告

現在、東京国立近代美術館(以下、同館)で開催中されている「MOMATコレクション」展の小企画『プレイバック「抽象と幻想」展(1953-1954)』にて、長谷川三郎に関連する資料が複数展示されています。

「抽象と幻想 非写実絵画をどう理解するか」展とは、同館の開館1周年に開催された展覧会であり、当時前衛とされた非写実絵画(抽象=アブストラクトアート/幻想=シュルレアリスム)に焦点が当てられました。批評家の上村鷹千代と瀧口修造を協力委員に迎え、一般的な美術展のように名品を並べるのではなく、同時代の作家を同じテーマの下で扱う先鋭的な企画が実現しました。
その中でも長谷川三郎は、抽象と幻想の関係を独自の視点で図式化した特大パネルの制作や展覧会趣意書を執筆するなど出品作家の枠を超えた存在として際立っており、画家でありながら歴史家、思想家としても評価されていたことが窺えます。

さて、今回の小企画の目玉はVRによる展覧会の再現です。資料として残されている文書や写真をもとに細部まで忠実に作り込まれており、文字や画像だけでは見えてこなかった会場全体の雰囲気を感じ取ることができます。企画担当の長名氏(情報資料室室長)は、残されている記録には意外と誤りも多く、情報を探り、繋ぎ合わせるのに苦労したが、こうした地道な研究を通して資料やアーカイブズが可能性を持った領域であることを少しでも知って貰いたいと話しました。

再現されたパンフレットの配布や、VR内の作品の一部は実物も鑑賞できるなど、大変贅沢な展覧会となっています。残念ながら、長谷川三郎による作品の実物展示はありませんが、特大パネルや趣意書などから当時の活躍ぶりを見て取ることができるでしょう。
是非みなさまも会場に足をお運びいただき、当時の空気感を味わってみてはいかがでしょうか。

(長谷川三郎記念ギャラリー 松永)

展覧会名:MOMATコレクション(所蔵作品展)
会場:東京国立近代美術館本館 東京都千代田区北の丸公園3-1
会期:2022年10月12日〜2023年2月5日
休館日:月曜日[2023 年1月2 日、1月9日は開館]、年末年始(12月28日~1月1日)、1月10日(火)
観覧料: 一般 500円、大学生 250円

東京国立近代美術館 MOMATコレクション
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/permanent20221012/

写真 上から順に
1. 小企画『プレイバック「抽象と幻想」展(1953-1954)』展示風景
2. VRによる展覧会の再現 コントローラーを操作しVR内の会場を巡ることができる
3. 長谷川三郎によって制作された「抽象と幻想」特大パネル
4. 長谷川三郎による展覧会趣意書
5. 「抽象と幻想」展に出品された長谷川三郎の作品《天体と人》

※1・2筆者撮影、3・4・5東京国立近代美術館アートライブラリ所蔵(無断転載禁止)