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2025/06/25
学校行事
6月10日(火)、本校にて今年度第1回目の「ソフィア講演会」を開催しました。今回は、NHK解説主幹の鴨志田 郷(かもしだ ごう)氏をお招きし、「戦争の時代と私たち~ジャーナリストに問われるもの~」と題してご講演いただきました。
鴨志田氏は1993年にNHKに入局し、神戸放送局での勤務を皮切りに、阪神・淡路大震災の取材を経験されました。その後、国際部を経て、2000年からエルサレム支局、2005年からヨーロッパ総局、2013年からアメリカ総局で取材を続けてこられました。これまでに中東や欧米、国連などを舞台に、国際紛争、テロ、そしてそれに対する国際社会の対応について幅広く報道してこられました。
今回の講演では、特にガザ地区の深刻な状況に焦点が当てられました。スライドを交えながら、命の危険にさらされながらわずかな食料の配給に頼る人々の姿や、薬も不足し治療もままならない医療現場の実情が語られ、生徒たちは深い衝撃とともに現地の現実を受け止めました。
講演の後半では、ジャーナリストとしての在り方について、ご自身の経験をもとにお話しいただきました。「対立の善悪を判断するのではなく、その根源に迫ること」「権力者だけでなく市民の声にも耳を傾けること」「相手にできる限り近づく努力を惜しまないこと」「自分がその地に生まれていたらと想像すること」など、どれも実際の現場を取材してきた鴨志田氏ならではの重みのある言葉ばかりでした。
また、紛争地ではジャーナリストが標的とされたり、報道の自由が脅かされたりする現状にも触れられ、情報があふれる現代においてフェイクニュースやメディアの偏向報道が社会に及ぼす影響について警鐘を鳴らされました。かつて日本も、メディアの扇動によって戦争が正当化され、太平洋戦争へと突き進んでしまった過去があります。終戦から80年を迎える今、同じ過ちを繰り返さない覚悟が求められているという言葉で、講演は締めくくられました。
今回の講演を通して、生徒たちは報道の役割や世界の現実について深く考える貴重な機会となりました。