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2023/10/23

授業レポート

【グローバルスタディプログラム】NIE記者派遣 講演会「死の通り」ブチャ 生存者の証言

朝日新聞大阪本社社会部 金成氏をお招きし、「死の通り」ブチャ 生存者の証言─特派員が語るウクライナ─と題したご講演を頂きました。この取り組みは、NIE=Newspaper In Educationと呼ばれる学校で新聞を教材として活用する活動の一環で、本校は日本新聞協会認定の実践指定校です。グローバルコース履修生の高校生が受講し、ウクライナが軍事侵攻を受け始めた正にその時の取材経験をお伺いしました。

金成氏は、多くの取材を行うに当たって、目の前にある事実がどのようにして齎されたのか、あるいは、偽情報や誤情報を回避し信憑性のある情報を選別するための裏取りは行えるかなど、特にウクライナの混乱した状況下における正確な報道について心血を注がれるとのことでした。

例えば、占領されたブチャは「死の通り」として報道され、世界中が震撼しました。ウクライナ国防省がそれを世界に伝える一方で、ロシアはこれをフェイクだと否定しています。この情報の検証を行う過程で、その通りの脇に放置された緑色の自転車の所有者について情報を収集し、最終的にはその方のご遺族までたどり着きました。死亡鑑定書や銃痕のある免許証を見せて頂き、真実であることの裏付けには膨大な伏線の回収が必要であることを語ってくださいました。

講演の最後には、生徒たちからの多くの質問が寄せられました。ロシア側について取材したいかと問われ、民間人がどのように感じているのか、例えば「死の通り」をフェイクと信じているのか、政府の体制がどこまで盤石だと思っているのかなど、内情を取材したいと仰られました。また、取材時の意思疎通手段や言語についても問われ、政府関係者とは英語が通じる一方で、郊外だとほとんど通じないため通訳が必要であるとのご回答を頂きました。取材を通して知り合った多くの人々との思いに馳せると、英語は生涯にわたり非常に役立つスキルであり、人生を豊かにするツールであるとも述べられました。